親鸞聖人、畢生の大著が『教行信証』全六巻から構成されています。
そのなかでも総序に特に感動しましたので、まず総序の内容から紹介していこうと思います。
『教行信証』総序にはまず最初にこう書かれています。
難思の弘誓は、 難度海を度する大船、 無碍の光明は、 無明の闇を破する慧
日なり (『教行信証』)
「なぜ生きる」という本には、次のような現代語訳になっています。
「弥陀の誓願は、 私たちの苦悩の根元である無明の闇を破り、 苦しみの波の絶えない人生の海を、 明るく楽しくわたす大船である。
この船に乗ることこそが人生の目的だ」
親鸞聖人は、 人生を海にたとえて、 苦しみの波の絶えない 「難度海」 とか 「苦海」 と言われています。
実際のところどうでしょうか?
歴史上の人物を調べてみました。
天下統一を成し遂げ、征夷大将軍にもなった徳川家康
「重荷を負うて、 遠き道を行くがごとし」
( 死ぬまで、苦悩という重荷はおろせなかった)
詩人、劇作家、小説家、哲学者、自然科学者、政治家、法律家と幅広い分野で
活躍し、小説『若きウェルテルの悩み』、詩劇『ファウスト』を残したドイツの文豪、
ゲーテ
「結局、 私の生活は苦痛と重荷にすぎなかったし、
七十五年の全生涯において、 真に幸福であったのは四週間とはなかった」
『放浪記』(ほうろうき)は、作家の林芙美子が自らの日記をもとに放浪生活の体験を書き綴った自伝的小説。
「でんぐり返り」がある森光子の舞台作品としても有名になった「放浪記」を書いた林芙美子
「花のいのちはみじかくて、 苦しきことのみ多かりき」
夏目漱石
「人間は生きて苦しむ為めの動物かも知れない」 (妻への手紙)
芥川龍之介
「人生は地獄よりも地獄的である」 (『侏儒の言葉』)。
「人生は苦なり」 の、 二千六百年前の釈迦の金言の通りのようです。
まさに人生は渡りにくい海のごとし、です。
ですが私たちは決して、 苦しむために生まれてきたのではありません。
生きているわけでもありません。
すべての人間の究極の願いは、 苦悩をなくして、
いかに明るく楽しく難度海の人生をわたるか、 に尽きるでしょう。
これこそが人類最大の課題であり、 その解答が 『教行信証』 に書かれているのです。